僕は原さん、原將人さんを応援しないわけにはいきません。
原さんの作品を初めて見たのはテレビでした。高校生の頃、たまたま見たNHK教育テレビの『若い広場』で、『おかしさに彩られた悲しみのバラード』原さんが高校生の時に作った映画、その抜粋が紹介されたのです。僕がまったく見たことがないような映画でした。
とてつもなく自由で、めちゃくちゃだけどチャーミングで、それでいて感情のある表現。うわ! こんな映画がこの世に存在するんだ! それ以来、自分で映画を作ることが出来ないかと思い立ち、僕自身も行動に走りました。
そして、伝説の『初国知所之天皇』原さんが23歳の時に撮影して、その後も何回もヴァージョンを変えて上映し続けている作品。これが見たくて見たくて自ら原將人全作品上映会を企画して自主上映を行いました。そのとき見たのは80年代初期の16ミリ映写機二台を使った二面マルチヴァージョン、とにかくこれもショックで、ああー、もう! なんだよ、なんだよ! なんでこんなことが出来るんだよ!という感じでした。そして今回、そんな原さんの71歳にしての新作、原さんは年齢なんか関係ないような人なのですから、どうでもいいのですが、それでも僕の映画の恩人である原さんにも、もう残った人生の方が短いのではないでしょうか。他人事ではありませんが……
とにかく、原さんの新作を見届けたい。いま、なんだか無性に危機感を抱きながら、そう思っております。
そんなわけで、原さんの新作を応援したい、応援します、応援しましょう、なのです。

―瀬々敬久(映画監督)